交通事故⑮
私「今から病院行くけど、何か欲しいものはある?」
Aちゃん「もうすぐ隣の病室に移動になるって看護師さんが言ってたから、昨日買ってくれたテレビカードだけだと不安だから何枚か買ってきておいて。あとジュースとゼリーとお茶」
私「分かった。昨日は痛みどうだった?」
Aちゃん「昨日は痛かったけど、我慢できるレベル」
病院に到着すると、AちゃんからLINEが来ていた。
Aちゃん「今HCUの隣の病室に移動したから」
昨日Aちゃんは『もうこの病室は嫌だ。テレビもないし…』と言っていた。
隣の病室に移動になったのなら、女の人だけの病室だろうし、テレビもある。喜んでるかな?と思いながら病室を覗くと、Aちゃんはじっと窓の外を眺めていた。
私「Aちゃんどうしたの?せっかくテレビがある部屋に移動できたのにテレビ見ないの?」
Aちゃん「えっ?この部屋テレビあるの?」
事故2日目のAちゃんの左眼は腫れて完全に閉じ切っていた。
運悪く運び込まれた病室はベッドの左側にテレビがあり、全く気付かなかったらしい。
病室に着いてからは、色々使いやすいように延長コードやかごなどを取り付けた。
テレビも右側に移動して見れるようにした。
私「朝ごはんはちゃんと食べた?」
Aちゃん「看護師さんに『あ~ん』って食べさせられたよ…屈辱だわ」
私「貴重な経験だね。ちょっと食欲出てきた?」
Aちゃん「あまりない。飲むゼリーが一番食べやすいかな」
そんな時電話が鳴った。
「○○警察です」
警察「事故の経緯はお聞きになりましたか?」
私「はい。娘が自転車で青信号を横断しようとしたところ、信号無視の車に右から撥ねられたと。加害者はすべて認めているのでしょうか?」
警察「目撃者はAちゃんの向かいで信号待ちしていた車の方です。その方の目の前で事故が起き、救急車や我々警察への証言もしてくれています。他にも何名か目撃者がいますが、全員Aちゃんは青信号を横断し、車が信号無視をしたと一致しています。加害者もそのことは認めています」
私「では、飲酒か携帯を見ていたとかですか?」
警察「飲酒も反応は出ず、携帯の通話履歴もありませんでした。加害者は『携帯も触っていない。ぼーっとしていた』と言っています。あまりにスピードも出ていて信号無視の悪質なので、拘置所で話を聞いています。加害者の両親が『Aちゃんのお母さんの連絡先を教えてほしい』と言っておられますがどうされますか?」
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