交通事故③
事故の日は寒い冬の日だった。
救急車の後ろのドアは開けっ放しでAちゃんは処置を受けていた。
首はテレビでよく見るがっちり固定されるのを付けられて、上着は脱がされ、薄手の長袖Tシャツとワイドパンツに足は裸足だった。
見た目は血だらけでもなく、傷だらけでも無かった。
でもどこが骨折していて、どの内臓が損傷しているのか分からないので、Aちゃんを抱きしめたいのにできない。。
ただただ私は「Aちゃん…Aちゃん大丈夫?何でAちゃんがこんな事に…」と泣き叫んでいた。
私の泣き声でAちゃんは目が覚めた。
私「Aちゃん…わかる?救急車だよ。Aちゃん事故に遭ったんだよ」
Aちゃん「えっ?何?うそでしょ?何これ?」
救急隊員「Aちゃん、名前と生年月日言える?」
Aちゃん「名前A、20××年○月○日」
良かった。ちゃんと分かってる。。
安心したのもつかの間
救急隊員「今日何月何日?どこに行くつもりだったの?」
Aちゃん「今日何日か分からない。家に居た」
私はまた泣き叫んだ…
Aちゃんの記憶は曖昧で答えられなかった。
私が泣き狂っている姿などAちゃんは初めて見たので
Aちゃん「ママ!ママ!!Aは大丈夫だから!!手を握って」
Aちゃんの手を握ったら強く握り返してきた。
救急隊員「今日朝ごはんは食べた?何時頃何食べたかな?」
Aちゃん「食べたかどうか分からない」
Aちゃんの受け答えを聞いて私はショックだった。
Aちゃんは朝ごはんを食べないで出かける事はない。
毎日毎日絶対食べる。
もちろん事故の日もちゃんと食べたのに…
そんなことすら分からないなんて、きっと頭を強く打ったんだ…
そんな時、行くはずだった友人のママから電話があった。
友人ママ「おはよー。Aちゃんまだ来ないんだけど、家に居る?」
私「友人ママー!!Aちゃんが○○橋で事故に遭った」
友人ママ「大丈夫なの?意識はある?何でこんなことに…」
友人ママも取り乱して叫んでいた。
そんな時救急隊員から「お話があります」と言われた。