交通事故㉑
加害者は加害者父と二人で病院に来た。
Aちゃんに会う前に3人で談話室へ行った。
加害者「この度は娘さんに大変な大怪我を負わせてしまい申し訳ありませんでした」
と頭を下げた。
でも『こう言え』と教えられたであろう言葉を棒読みのように言っただけで、私には本人が反省しているようには感じなかった。
私「どういう風に事故になったのか、説明してもらえますか?」
きっと加害者も怖かったに違いない。それをもう一度思い出して欲しかった。
加害者「友人の家に行こうと車を走らせていました。本当にぼーっとしていて、信号無視と言うよりも、信号があることに気付かなかったくらいです。すると女の子が自転車で飛び出してきて、すぐにハンドルを切ったのですが、ぶつかってしまいました。ぶつかった瞬間は怖くて目を瞑ってしまい、Aちゃんの事は見えませんでした。車はガードレールにぶつかり、ガードレールの向こう側に立っている外灯のポールに車がめり込んだので、ドアが開かずしばらく頭が真っ白になりました。事故に居合わせた人たちが救急車や警察も呼んでくれて、車のドアを開けてもらい、やっと外に出られました。その時Aちゃんはブロック塀の下で横たわっていました」
私「携帯かナビを見ていたの?」
加害者「見ていません。本当にぼーっとしていたんです」
加害者の家は事故現場からすぐ近くで、事故が起きた国道はよく通るはず。
なのにこの信号に気付かないというのは腑に落ちない。
でも通話履歴やメール・ラインの送受信履歴がない以上証拠はない。
私「Aは学校が本当に好きなんです。次の日から学校くのをすごく楽しみにしていました。でもこの事故で行事にも参加できません。部活動の試合にも出られません。何より勉強が遅れます。Aは結構勉強を頑張ってて、休みの日は朝から晩までお弁当を持って行って一日中高校受験に向けて勉強していました。学期末テストも内申点に入るのに、テストを受けられるかどうかも分かりません。加害者さんの信号に気付かなかったやぼーっとしていたで、何の関係も無いAの人生が変わるんです。加害者さんは煙草を吸いますか?お酒は飲みますか?もしされるのであれば、最低1か月は我慢してください。Aは何の落ち度もなく事故に遭い、我慢を強いられているんです」
私は泣きながら訴えた。加害者父は泣いていた。加害者はうつむいたまま何度も「すみません」と言った。
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